医師の働き方改革とは

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医師の働き方改革の意義

  • 社会構造の変化への対応

    • 人口減少社会において、社会を維持するためには、柔軟な働き方を可能とし、様々な制約のある方にも働いてもらえる環境が必要(⇒子育て中の医師等の活躍機会を増やす等)
    • また少ない人員でも機能する働き方への変革が必要(⇒チーム医療の推進等)

    経営の視点:働き手の獲得競争への対応※医療機関間/他業種間

  • 安全な医療の提供のために

    • 持続可能な医療提供体制の構築を通じ、地域医療提供の確保を。
    • 医療の質と安全の確保のためにも、医師の勤務環境を改善し、休息を確保した働き方へ変わる必要がある。
      (長時間労働は睡眠不足を招き、医療安全が脅かされることが確認されている。)
  • 医師本人のために

    • 医師にしかできない業務に集中することで、やりがいの向上へ
    • 自分で自由に差配できる時間(自己投資時間)を増やすことで、家族時間の確保/研鑽時間の充実/研究時間の確保等自らのキャリア志向に沿った行動を可能に。

医師の働き方改革のポイント

  • 時間外労働の上限規制

    医師の勤務実態調査を踏まえ、時間外・休日労働の上限時間数の設定を段階的に行うこととされました。
    まず2024年4月までに、全ての医師の時間外・休日労働を年1,860時間以下にするため、一般労働者超の労働が許容される場合(時間外・休日労働が年960時間超となる場合)を限定することとされました。

    そのため医療機関は、医師の労働時間管理(副業・兼業を含む)や労働時間に関する取り決めを行い、医師の適切な労働時間の把握・管理に取り組む必要があります。

    • 一般則の時間外労働の上限

      36協定で
      定められる時間外
      年360時間以内、月45時間未満
      36協定(特別条項)で
      定められる時間外
      年720時間以内、複数月平均80時間未満、単月100時間未満(休日労働含む)

      大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月適用開始

    • 勤務医の時間外労働の上限(休日労働含む)

      原則
      年960時間以内、月100時間未満
      例外
      年1860時間以内、月100時間未満
      →県が連携B・B・C-1・C-2水準(特例水準)として指定する必要

      2024年4月から適用開始

      ※B⽔準・連携B⽔準は2035年までに段階的に解消、C⽔準は縮減する⽬標になっています。

      参考
      36協定
      →正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。 労働基準法第36条により、勤務医をはじめとする医療従事者に 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える時間外労働及び休日勤務などを命じる場合、労使間で書面による協定を結び労働基準監督署に 届け出ることが義務付けられているため、一般的に「36協定」という名称で呼ばれています。
      医師に適用される水準
      年間の時間外・休日労働が960時間以内
      →A水準
      地域医療提供体制の確保の観点からやむを得ず時間外・休日労働が960時間を超えざるを得ない場合は1860時間まで可
      →B⽔準(自院内の時間外・休⽇労働が960時間を超える場合)
      →連携B⽔準(自院内の時間外・休⽇労働は960時間だが、他の医療機関へ派遣され、副業・兼業先での労働時間と通算した場合に時間外・休⽇労働が960時間を超える場合)
      一定の期間集中的に技能向上のための診療を必要として時間が・休日労働が960時間を超えざるを得ない場合は1860時間まで可
      →C-1水準(臨床研修医・専攻医が、研修プログラムに沿って技能・能力を習得する際に適用)
      →C-2水準(医籍登録後の臨床従事6年目以降の者が、高度技能の育成が公益上必要な分野について、指定された医療機関で診療に従事する際に適用)
      ※追加的健康確保措置の実施
      2024年4月以降、連続勤務時間制限、勤務間インターバル、代償休息、面接指導等を実施することになります。(A水準は努力義務、B〜C水準は義務)
  • 労働時間管理

    管理者には勤務医を含む職員の労働時間を適切に管理し、安全や健康に配慮する義務があります。

    労働時間
    「使用者の指揮命令下におかれている時間」
    労働時間の
    把握
    「タイムカードやICカードなど客観的な方法によって行うこと」※自己申告による場合は、勤務実態と合致しているかの確認が求められます。
    医師の研鑽
    医師の自己研鑽が労働時間に該当するかどうかについても「使用者の指揮命令下に置かれているかどうか」により判断されます。

    断続的な宿日直の許可

    いわゆる「寝当直」を労働時間として扱わないためには労働基準監督署長の許可が必要です。
    本来業務の終了後などに宿直や日直の勤務を行う場合、当該宿日直勤務が断続的な労働と認められる場合には、行政官庁の許可を受けることにより、労働時間や休憩に関する規定は適用されないことになります。常態として、ほとんど労働をする必要のない勤務のみを認めるもので、定期的巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものを言います。
    医師・看護師の場合は、より具体的な判断基準として、「特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限ること。」等が示されています。
    診療科、職種、時間帯、業務の種類等を限って得ることも可能です。

    ※許可を受けた宿日直中に、通常業務と同態様の業務が生じてしまった場合は労働時間として本来の賃金を支払う必要があります。

    管理監督者

    「管理・監督の地位にある者」は、労働時間・休憩・休日・割増賃金の規制が適用されないことになっています。
    管理監督者は、役職や肩書で決まるものではなく、客観的にみて、「経営および労務管理について経営者と一体的立場にある者」であることが必要です。
    そのため「勤務医は管理職だから残業手当の支給対象外」となるのではなく、立場や権限を踏まえて実態から判断することになります。

    ※ちなみに管理監督者であっても労働者に変わりはなく、労働時間の規定が適用されないからといって、健康を害するような長時間労働をさせてはなりません。